今日は私の子供のことについて書かせてもらおうと思います。
一番最初にも書かせていただきましたが、私には女の子3人、男の1人、合計4人の子どもがいます。そのうち息子には軽度の知的障害があります。
息子の発達の遅れにはっきりと気づいたのは生後7か月頃だったと思います。普通であればこれくらいの月齢になると寝返りができるようになるのですが、息子は全く寝返ることができませんでした。また筋力が弱いために座ることや「はいはい」をすることもできず、1才の頃には「はいはい」をする代わりに背泳ぎをするように背中を床にすって移動(いわゆる「背ばい」)しておりました。「背ばい」は前が見えないまま進むため、頭から玄関の土間に落ちてしまうこともしばしばありました。
また言葉もなかなか出てこず、こちらの言っていることも伝わらない状態でした。
小児科医という職業をしているのでこの時点で発達がかなり遅れていることに気づきました。そしてこの先もこの遅れが続くだろうということも予想できました。
この現実を突きつけられ、日々悩み、落ち込んでおりました。この子が歩くことができる日が来るのだろうか?小学校には行けるのだろうか?大きくなって社会に出て行くことはできるのだろうか?などと息子の現状と未来について悩む日々が続きました。
しかしそんな息子も3歳前には歩くことができるようになり、その後もゆっくりながらも言葉を覚えたり、できることが増えていったりしてそのたびに得意げな表情でこちらを見てくる息子の成長を目の当たりにして、ようやく現実、そして息子の存在を受け入れられるようになってきました。また同じ悩み、不安を抱えながらも必死に明るく強く彼を育ててくれた妻のおかげで私もようやく前向きになることができるようになりました。妻の存在には大変感謝しております。
今はもう不安、悩みがないと言えば嘘になりますが、元気に毎日過ごしてくれている彼の姿を見るたびにとても嬉しく感じております。
3人の娘達も彼という存在を通して「人間には色々な人がいて、みんなで協力して助け合いながら生きていく必要があるんだ」ということを間近で体感することができることはこれからの彼女たちの人生にとって貴重な経験になると思っております。
皆様の中にもきっと私と同じかもしくはもっと大きな悩み、不安を抱えながら日々を過ごされている方が少なからずいらっしゃると思います。このクリニックがそのような方々にとって少しでも日常の生活の助けとなり、そして来ていただいた方々が少しでも前向きになることができる、そんな安らぎの場所になることができればいいなと思っております。
宗村純平